先週、朝のテレビはいつもと違っていた。
北朝鮮のミサイルが日本上空を通過。
テレビの異様な空気に長男も次男も
『なに!?どういうこと!?』
と、テレビの前に立ち、聞いてくる。
長男は登校する時間まで、ニュースに釘付け。
緊迫した声で速報のテロップをずーっと繰り返し声に出して読んでいた。
『いってきます』
の声もいつもと違う。
帰宅すると、
『友達、みんなミサイルの話。みんな怖いって。
担任の先生は何も話さなかったけど、学年の先生が話してくれた。』と。
そしてもらってきたプリント。
今後ミサイルが発射された場合の対応について。
登校前の場合→普段通り登校。
在校時→窓から離れ校内の安全場所で待機。
登下校中の場合→周りの頑丈な建物に入り頭を守る。
私が子供の頃、ミサイルが飛んでくるなんて心配ひとつもしなかった。
北朝鮮は異質で危険な国というような扱いだけで、
クラスで『朝鮮民主主義人民共和国』って早口で言えるか、ってみんな言って笑ったりしてた。
でも今じゃ笑えない。笑える状況じゃない。
そして今日の核実験。
またテレビのニュース速報。
そして夫がぽつり。
『本当に戦争始まるかもしれないな、、』
長男
『えーっ!?』
2階に駆け出す長男。それを追う次男。
どんな戦争になるのか、
日本はどうなるのか、
夫の考えを聞く私。
夫から戦争になるかもって初めて話されたのは8月初旬。
真面目な話、アメリカと北朝鮮の戦争が始まるかもしれないから、一時的に物流がストップするかもしれないと。
だから、1週間くらい買い物しないで暮らせるように食べ物、水など備蓄しておくようにと。
少しは意識して備蓄したけど、心のなかでそうならないんじゃないかと楽観していた私。
変わらない日常のなかで薄れていた不安な気持ち。
2階から子供たちが降りてくる。
長男は自分の宝物であるDSとデュエルマスターズの大量のカードを抱えている。
『ねぇ!戦争はじまるの!?』
夫の話を聞く子供たち。
北朝鮮のこと、アメリカのこと、ミサイルのこと、日本のこと。
そして、今自分達が住んでいるところにミサイルが落ちることは考えられないから大丈夫だと。
話が終わると長男はリュックを取り出して自分の大切な物たちを入れている。
何かあったときにこれさえ持って避難すればいいと。
次男は
『とりあえず逃げよう!』って玄関へ向かおうとしてる。
一瞬、緊張の糸がほぐれてみんな笑う。
今は逃げなくていいよ、と次男に言う。
『サバイバルの本に書いてあるもの1つも入ってないじゃないか~!』
と夫に突っ込まれる長男。
緊迫した空気もここまで。
日常に戻り、夫は子供たちを連れてプールへ。
帰ってきて『楽しかった~!』
とニコニコの子供たち。クタクタの夫。
そして夜、寝るときに
次男『もっとプール入りたかったなぁ~』
長男『俺も~』
私『じゃあ、また来週行けばいいじゃん!』
次男『いーねぇ!』
長男『、、でも戦争始まってたら行けないよ』
ハッとした。
楽しいことをしても、
いつも通り暮らしても、
頭のどこかにずーっと不安があるんだと。
それがふとした時に出てくるんだと。
次男はよくわかっていないだろうけど、
長男は夫の話をきちんと理解している。
以前から北朝鮮のニュースは見ていて私たちもその都度ざっくりと話していた。
話さなければ良かったのかとも思ったが、
話さずに誤魔化してもどうなるんだと。
納得いくわけがない。
テレビで緊迫して取り上げるミサイル、核実験。
学校からはミサイル発射時の注意、対策について話される。
こんな状況で誤魔化せるわけない。
ふと、長男を見る。
天井を見つめて目を潤ませている。
隣にいる弟の手を握っている。
とっさに
『不安だよね、怖いよね、でも大丈夫だよ』と声をかける。
『パパはここは大丈夫って言ってたから、パパを信じて寝よう』
と言って、
なんとか長男が気持ちを切り替えられるように、好きなゲームの話や笑えるYouTubeの話をしてみる。
次男も話に乗ってくれて盛り上がって無事に就寝。
でも、大丈夫だよって言いながら、何が大丈夫なんだろうって思う。
でもそれ以外言葉が見つからない。
長男は小学生だから、一人で登下校中にミサイルが落ちてきたらと心配している。
私が子供の頃、そんな心配して登下校したことなんてない。
学校からミサイル発射時の待避の仕方なんて話されたことない。
今の子供たちは大変だなと思うことは沢山あるけれど、
子供時代にこんな思いをさせなければいけないことが、可哀想でならない。